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令和5年度 英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業 国際協力型廃炉研究プログラム 選定課題

■国際協力型廃炉研究プログラム

■日英原子力共同研究:2課題
No. 提案課題名 研究代表者
[所属機関]
参画機関 概要
1 革新的分光画像解析による燃料デブリの可視化への挑戦とLIBSによる検証 牟田 浩明
[大阪大学]
日本核燃料開発株式会社、日本原子力研究開発機構 ハイパースペクトルカメラは、可視近赤外領域を200色程度に分けた分光像を取得するカメラで、近年、物質や状態を画像として認識する技術(HSI)の発展が目覚ましい。RGBカメラでは区別不能でも、HSIの駆使により、人工衛星から野菜の種類・作付け状態の確認、廃棄プラスチックの種類の分別のように、分別や特徴付けが容易に可能となった。この技術を燃料デブリに応用することができれば、核物質濃度の高い燃料デブリ、汚染物、瓦礫等の分別や、核物質濃度の高い領域を俯瞰的な画像として認識・特定することが可能となる。
本研究では、特徴的な模擬デブリを作成し、高度なHSI技術を有する英国との共同研究により、波長分解画像診断手法を開発するとともに、レーザー誘起ブレークダウン分光(LIBS)技術や英国の小型中性子計測技術と組み合わせてその結果を検証し、迅速で確実な分別技術の可能性について評価する。
規模を拡大した燃料デブリ取り出し時のスクリーニングや試料サンプリング場所の代表性の明示など、重要な情報を与える技術として1F廃炉に貢献することは無論のこと、英国Sellafield等の原子力レガシー施設の廃止措置の加速化にも寄与する。
2 燃料デブリ除去に向けた様々な特性をもつメタカオリンベースのジオポリマーの設計と特性評価 Yogarajah Elakneswaran
[北海道大学]
日本原子力研究開発機構 福島第一原発の敷地内では、燃料デブリの取り出しや過去に行われてきた汚染水処理等の過程において、溶融炉心コンクリート相互作用(MCCI)生成物やコロイドを含むスラリー・堆積物など、様々な放射性廃棄物が発生し、これらを安定化させて確実に保管する技術が必要となる。そこで本プロジェクトでは、燃料デブリや汚染水処理に伴う放射性廃棄物を安定化・固化するために、高い流動性と閉じ込め性能を持ち、かつホウ素の添加による中性子吸収能を兼ね備えた、メタカオリンベースのジオポリマーのポテンシャルを実証する。原料となるメタカオリンの仕様(焼成温度や粒径など)の異なるジオポリマーについて特性評価を行い、コロイド・固体片を含ませた固化試験を実施する。得られた知見をもとに、主要な放射性核種に対する高い保持能力とともに、高い作業性で固体片やコロイドを固化できるメタカオリンベースのジオポリマーの仕様とレシピを確立する。