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令和3年度 英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業 国際協力型廃炉研究プログラム 選定課題

■国際協力型廃炉研究プログラム

■日英原子力共同研究:2課題
No. 提案課題名 研究代表者
[所属機関]
参画機関 概要
テーマ 先進廃炉科学研究
1 福島第一原子力発電所の廃止措置における放射性エアロゾル制御及び除染に関する研究 三輪 修一郎
[東京大学]
株式会社アトックス、日本原子力研究開発機構、University of Bristol 英国の研究者と協力して、エアロゾル分散制御をしながら、同時に高度な微粒子測定と評価が可能な安全なレーザー除染システムを開発することを目的としている。
日本側では、CFD解析を活用して、セシウム等を浸透した物質へのレーザー加工により発生する放射性エアロゾルを水ミストとスプレーにより効果的に制御するシステムを開発する。
具体的には、エアロゾルと水界面の相互作用に関連する英国側研究成果を活用してレーザー加工を行い、高精度検出器による10nm~10µmの広範囲なエアロゾル粒子の計測、水ミストやスプレー液滴の電気化学的処理による粒子分散制御、並びに得られたデータを基にして分散制御に関するCFDシミュレーションの精度向上を目指す。
最終的には日英の研究成果を活用して、両国の試験施設において実証試験を行うことにより、今後、両国の廃炉現場において適用可能性のある高線量エリアのレーザー除染計画に役立てる。
2 燃料デブリ取り出しのための機械式マニピュレータのナビゲーションおよび制御 淺間 一
[東京大学]
有限会社ライテックス、日本原子力研究開発機構、University of Sussex 機械的可変インピーダンスアクチュエータを用いたロボットマニピュレータの開発および効率的な探査・廃止措置のための人工知能を使った制御手法の構築に取り組む。研究課題は、(1)CVT-VIA(Continuous Variable Transmission-Variable Impedance Actuator)の設計、(2)衝突に頑健なロボットマニピュレータおよび把持力の計測可能なグリッパーの開発、(3)センサの計測精度が保証される局所領域内における3次元環境モデルの生成手法の開発、(4)マニピュレータのコンフィグレーション計画手法の開発、という4項目で構成される。(1)、(2)については、英国Sussex大学において実施し、(3)、(4)については、東京大学および連携ラボ(JAEA)において実施する。
■日露原子力共同研究:2課題(令和5年度より課題解決型廃炉研究プログラムに移管しました)
No. 提案課題名 研究代表者
[所属機関]
参画機関 概要
テーマ 先進廃炉科学研究
1 福島第一発電所2,3 号機の事故進展シナリオに基づくFP・デブリ挙動の不確かさ低減と炉内汚染状況・デブリ性状の把握 小林 能直
[東京工業大学]
九州大学、日本原子力研究開発機構、Saint Petersburg State University 福島第一原子力発電所(1F)の廃炉に向けて、各号機でのデブリのマクロな堆積状態が徐々に明らかになってきている。しかし、デブリ特性については、燃料デブリ取出し前にサンプル分析を十分に実施して評価することは困難で、小数の実サンプル分析データを、解析や炉外試験で補完して評価することが現実的と考えられる。本提案では、2,3号機を対象に、燃料デブリ取出しにおける喫緊課題であり、かつ、材料科学的な研究がその解決に貢献できると見込まれる2個の重要課題(①事故時のCs移行・凝縮・再蒸発挙動、②事故時に形成される金属デブリの酸化挙動)について、原子力機構と東京電力の共同評価による事故進展最確シナリオに基づいて条件選定した材料科学解析および模擬試験により、反応進展のメカニズムと傾向をとりまとめる。さらに、専門家横断した総合評価により、2,3号機内でのCs移行経路と再分布(例:2号機RPV内壁への吸着残留、3号機D/Wコンクリートへの吸着と再蒸発、等)、および、金属デブリ酸化によるデブリ化学特性の変質(例:ホウ素化学形や分布の変化、活性金属成分の残留程度、等)等の重要因子を評価する。
他方、露国では、1F事故を背景として、事故時化学環境の違いによるCs蒸発モデルの高度化が必要と認識され、基礎物性データ(例:Cs化合物のコンクリートからの蒸発基礎データ)の拡充が検討されている。本プロジェクトと露国プロジェクトを連携することで、事故時のCsふるまいに関する知見を効率的に取得できると見込まれる。
2 非接触測定法を用いた燃料デブリ臨界解析技術の高度化 小原 徹
[東京工業大学]
産業技術総合研究所、National Research Nuclear University (MEPhI) 燃料デブリ取出し作業を安全かつ効率的に行うためには、事前情報が限られる取出し直後の状況においても1次スクリーニングにより核分裂性物質の計量を含め臨界安全上のリスクを迅速に測定・評価する必要がある。本研究では、非接触のアクティブ中性子法による誘導核分裂中性子と含有水素による熱化中性子を同時に測定することにより核分裂性ウラン、プルトニウム、含有水素量を定量化し、燃料デブリの臨界安全上の特性を評価することができる測定システムを開発する。また、燃料デブリ取出し作業員の安全確保方策の確立に貢献する基盤技術として多領域積分型動特性解析コードを開発し、燃料デブリの動きを含む燃料デブリ弱結合炉体系の臨界影響評価を実施できるようにする。研究にあたっては、日本で実施が困難な実験・測定データをロシア側と共有する形で共同研究を実施する。

(注) 採択後生じた事情の変更等により、実施内容(事業計画、契約金額等)の変更及び採択の取消しを行うことがあります。