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平成25年度 国家課題対応型研究開発推進事業 原子力システム研究開発事業 選定課題

■安全基盤技術研究開発 4課題

No. 提案課題名 研究代表者
[所属機関]
参画機関 概要
1 事故時高温条件での燃料健全性確保のためのODSフェライト鋼燃料被覆管の研究開発 鵜飼 重治
[北海道大学]
京都大学、日本原子力研究開発機構、日本核燃料開発、北海道大学 本提案は既存のナトリウム冷却高速増殖炉を含めた革新的原子力システムの安全性向上に資するため、事故時高温条件で優れた高温強度を有する酸化物分散強化型(ODS)フェライト鋼被覆管を適用し、任意の応力・温度上昇速度で燃料破損の予測が可能な高温強度評価式を策定することにより、設計基準を超える事故条件で燃料破損への裕度を確保して、除熱不足で炉心溶融に至るシビアアクシデントの未然防止・緩和を図るものである。本技術は、アルミナ安定保護被膜を生成させることにより、既存の軽水炉の安全性向上にも貢献できるものであり、大きな成果が期待される。
2 ナトリウム冷却高速炉における格納容器破損防止対策の有効性評価技術の開発 宇埜 正美
[福井大学]
日本原子力研究開発機構、福井大学 本提案は既存のナトリウム冷却高速増殖炉を含めた革新的原子力システムの安全性向上に資するため、ナトリウム冷却高速増殖炉特有の重大事故現象や固有の安全性に関する事項を考慮しつつ、以下に示す格納容器の破損防止対策の有効性を評価するための手法を開発するものである。
(1)格納容器の破損モードに関する評価手法の開発
(2)格納容器の構造健全性に関する評価手法の開発
事故シナリオを想定した格納容器健全性評価手法として、大きな成果が期待される。
3 ナノ粒子分散ナトリウムによる高速炉の安全性向上技術の開発 荒 邦章
[日本原子力研究開発機構]
日本原子力研究開発機構、三菱重工業、三菱FBRシステムズ 本提案は既存のナトリウム冷却高速増殖炉を含めた革新的原子力システムの安全性向上に資するため、研究代表者が従来開発してきた、化学反応抑制効果が実証されているナノ粒子分散ナトリウム技術を適用し、格納容器の機能維持、健全性確保の課題解決を目指して、ナノ流体によるナトリウム燃焼、水素発生等の抑制効果を評価するとともに、ナノ流体製造技術を開発、整備するものである。ナトリウムの安全性向上に大きく寄与する日本オリジナルの革新的技術であり、大きな成果が期待される。
4 フッ化技術を用いた燃料デブリの安定化処理に関する研究開発 深澤 哲生
[日立GEニュークリア・エナジー]
東北大学、日立GEニュークリア・エナジー、三菱マテリアル 本提案は、デブリ処理にフッ化物揮発法を応用した方法を適用することにより、不純物を除去して燃料デブリの減容を図り、核物質の計量管理を容易にし、デブリを最終的に安定かつ硝酸溶解可能な酸化物形態とする技術を開発するものである。福島第一原子力発電所の事故にともない生じた燃料デブリ、及び他の軽水炉や軽水炉と炉型や燃料形態の異なる革新炉で万一発生した場合の燃料デブリの安定化処理に貢献するものとして、大きな成果が期待される。

■環境負荷低減技術研究開発 6課題

No. 提案課題名 研究代表者
[所属機関]
参画機関 概要
【タイプA】3課題
1 加速器駆動未臨界システムによる核変換サイクルの工学的課題解決に向けた研究開発 辻本 和文
[日本原子力研究開発機構]
京都大学、日本原子力研究開発機構 本提案は、放射性廃棄物の減容及び有害度低減に資するため、高レベル放射性廃棄物中のマイナーアクチノイド(MA)を分離・回収し、短寿命核種あるいは安定核種に変換する分離変換技術として、加速器駆動核変換システム(ADS)によるMAの核変換を行うADS階層型概念について、各構成要素の研究開発段階を「基礎研究」から「準工学研究」へ移行するための工学的見通しを得るための研究開発を行うものである。原子力委員会の評価で指摘された構成要素の技術的課題に関して、技術的見通しを得る等大きな成果が期待される。
2 マイナーアクチニドの中性子核データ精度向上に係る研究開発 原田 秀郎
[日本原子力研究開発機構]
京都大学、東京工業大学、日本原子力研究開発機構 本提案は、放射性廃棄物の減容及び有害度低減に資するため、従来測定が困難であるため測定誤差が大きい放射性核種(MA及び長寿命核分裂生成核種(LLFP))に対して、環境負荷低減効果の評価に重要な中性子核データを高精度化することを目指し、①熱中性子捕獲断面積の高精度化、②TOF測定に用いるサンプル量の高精度決定のための技術開発、③全中性子断面積測定を組み合わせた共鳴パラメータの決定、④測定エネルギー範囲の高速中性子領域への拡張、並びに、⑤測定と評価のキャッチボールによる高品質評価を実施するものである。マイナーアクチニド核種を中心とする最重要核種の中性子核データを世界最高水準で測定できる技術が実現し、これを適用した核データ測定結果を反映した評価を行うことにより、高品質データが整備提供される等、大きな成果が期待される。
3 「もんじゅ」データを活用したマイナーアクチニド核変換の研究 竹田 敏一
[福井大学]
大阪大学、京都大学、日本原子力研究開発機構、日立GEニュークリア・エナジー、福井大学 本提案は、放射性廃棄物の減容及び有害度低減に資するため、「もんじゅ」の運転・性能試験データを活用して、高レベル放射性廃棄物に含まれる長期の放射能や崩壊熱を有するマイナーアクチニド(MA)を環境負荷低減のために効率よくかつ安全に核変換・減容するナトリウム冷却高速炉(SFR)の炉心を設計し、炉物理特性、特にMA核変換量、ナトリウムボイド反応度等を精度よく計算する手法を新たに開発し、さらにそれらの予測誤差を低減するための予測誤差低減化手法の開発及び「もんじゅ」データの活用を図るもので、本技術を今後の「もんじゅ」運転に積極的に提案を行うことにより大きな成果が期待される。
【タイプB】3課題
4 長寿命核分裂核廃棄物の核変換データとその戦略 櫻井 博儀
[理化学研究所]
理化学研究所 本提案は核廃棄物の短寿命核種への核変換に関連した反応断面積データの整備に資するため、理化学研究所・重イオン加速器施設「RIビームファクトリー」を利用して、核廃棄物の中でも大きなウエートを占める長寿命核分裂放射性核種Sr-90、Tc-99、Cs-137について、高エネルギーまで加速されたウランビームから作られる核分裂放射性核種を2次ビームとして取り出し、逆運動学法を適用することにより、世界初のデータを取得するとともに、将来のデータ取得戦略の取りまとめを行うものであり、これにより、関連研究開発で有用となる豊富な核変換データの整備・提供等大きな成果が期待される。
5 マイナーアクチニド/希土類分離性能の高い乾式処理プロセスの開発 村上 毅
[電力中央研究所]
京都大学、電力中央研究所、日本原子力研究開発機構 本提案は様々な燃料からのアクチニド回収法の確立に資するため、高い選択性を有する液体Alや液体Gaを電極に用いることで、照射済燃料という多元素系においても、従来法よりも高いPu・マイナーアクチニド/希土類FP分離係数が期待される、電気化学的“合金形成・脱合金化”という新規な反応系を利用した乾式処理プロセスを開発するもので、様々な組成、化学形や燃焼度の燃料へ柔軟に対応可能な処理プロセスを確立する等大きな成果が期待される。
6 マイナーアクチニド分離変換技術の有効性向上のための柔軟な廃棄物管理法の研究開発 稲垣 八穂広
[九州大学]
九州大学、日立GEニュークリア・エナジー、福島工業高等専門学校 本提案は廃棄物の環境負荷低減に資するため、新たに高レベル廃棄物を安定かつ再生可能な形態(顆粒体)で冷却貯蔵することで、処分直前でのマイナーアクチニド分離変換の適用を可能とし、FPのみをガラス固化して地層処分する「柔軟な廃棄物管理法」を提案するものであり、廃棄物顆粒体等に関するこれまでの知見や特性試験結果を基に、柔軟な廃棄物管理法の概念を構築して顆粒体の長期貯蔵時の材料化学的安定性や事故時安全性を検討することにより、環境負荷低減に対する有効性の定量的な評価やその成立性を明らかにする等大きな成果が期待される。